場末の陽炎

本、映画、食事、雑記などをだらだら記すブログ

おそらく実写映画で飯が一番美味そうな映画

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バベットの晩餐会

舞台は19世紀のユトランド半島の片田舎です。画像の二人はどちらもバベットさんではなく、敬虔な牧師である老父の娘であり、美人姉妹のマーチーネさんとフィリパさんです。正直私はどっちがマーチーネさんなのかフィリパさんなのか分かりません。この映画を見たことある人は共感してくれると思うんですが、実際姉妹の名前は覚える必要はありません。

 

それで最初から中盤までこの姉妹の清貧な生活が続き、当然美人姉妹だからちょっかいかけてくる男たちが現れるんですが、淡々と、静粛に、話は進んでいきます。

 

ぶっちゃけ退屈なほど話は静かに進行していきます。『シンドラーのリスト』並みに非リア充向けだと個人的に思っています。

 

その起伏のないストーリーは姉妹が老いて、満を持してバベットさんが劇中に出てきた後も続きます。老姉妹はその時村人の信仰が衰えているのを感じ、老父の生誕100年を記念した晩餐会に村人を招待することを計画します。その折、バベットさんに一万フランの宝くじが当たり、お世話になっている老姉妹にお願いを申し立てます。

 

それが、『バベットの晩餐会』です。

 

そりゃいままでがちょっと退屈なのは仕方ないんですね。なぜならこの映画の主役はタイトル通りの、『バベットの晩餐会』なわけですから。主役はバベットさんでも老夫妻でもなく、私は晩餐会そのものが主役だと思っています。

 

この晩餐会の用意の時から、モノクロがフルカラーになったと錯覚するほど、物語が色づいていきます。『シンドラーのリスト』があえてモノクロにした作品なら、『バベットの晩餐会』は、その晩餐会に至るまでが、モノクロじゃないのにモノクロのイメージなんですね。

 

そしてバベットさんの料理が出てくるわけですが、それが本当美味そうでたまらないんですよ。特に、村に老姉妹にかかわりのあるお偉いさんの馬車の御者さんが、厨房でバベットさんの心遣いで晩餐会の料理を分けてくれるんですが、その時のおっさんの美味しそうに食べる姿ときたら、見るだけで腹が減りました。なんかお手伝いの小僧が居るんですが、そいつもつまみ食いしてました。こやつめ、ははって感じですが、そりゃ食いたくなりますよ。

 

ブログのタイトル通り、私は実写映画で飯が一番美味そうなのはダントツで『バベットの晩餐会』だと思っています。アニメだとジブリの飯が一番かなと思うんですね。

 

この作品は最後まで見て初めておもしろさが分かる作品ですね。主役の晩餐会が最後の方に出てくるから仕方ないんですけど。

でも、実は途中で面白いキャラが一人います。それは姉妹の姉か妹のどちらかは忘れたんですが、姉妹に惚れるオペラ歌手? のおっさんです。

 

このおっさんはもう、一言で表すなら変態です。

 

いや、良い人なんですよ? バベットさんの恩人ですし、歌手としても一流のおっさんです。ただ、おっさんの顔とか、姉妹に歌(讃美歌)のレッスンをする時、過剰にスキンシップしたり、顔がいやらしかったりしたせいで、私の中では変態のイメージが出来上がってしまいました。単に情熱的なだけなんでしょうが、まあ、そうは見えないんですよね。あと老姉妹にポエム送ってきます。

 

それとこの映画は小説の映画化らしいですが、私は森薫先生に漫画化してほしいなと思ってますね。バベットさんは家政婦ですけど、森薫先生が描くとメイドになるはずなんですよ。

 

家政婦とメイドは別物です。それは文字を大にして言いたい。

 

さて、こんなところですね。それでは最後まで目を通してくれた方、チラ見してくれた方、ありがとうございました。